一本のラジオドラマをきっかけに放送の世界に入りました。broadcasting writer & directorとしてラジオドラマ・ラジオエッセー・対談番組をメインに、原稿を書いてはスタジオへ、の日々を過ごしていました。
念願の仕事だった筈なのですが、超多忙ななか、少しずつ芽生えていった違和感。
それが次第に心を占め・・・。
しばし立ち止まり、もう一つの場を模索するようになったのでした。
興味のあった色彩学の講座に通い、学びの日々。
マンセルなどは苦手でしたが、カットチップを切って配色の勉強を特に熱心に!
やがて、脳内にいろいろな造形が浮かぶようになり、こんなのがあったら面白いな。。。
なんて、いい年をして子供のように遊んでいたら、なにやら作品らしきものが出現していました。
これをもっと突き詰めたらどうなるのかしら?とは思うものの、全くの畑違い。
道具はどうする。画材は? 技法と言っても、う~ん・・・。何もかも初めの一歩から。無謀なる独学。
スーパーサイヤ人ならぬ、アートザイヤ(在野)人の誕生です。(地球の隅っこで)
しかし、仕事との並走もあってなかなかの難産。ワタワタと6年の歳月が過ぎ・・・。
ようやく「和紙を染め、オリジナル文様をcuttingし、layerする」独自技法に辿り着いたのでした。
製作には箔や砂子も使っています。
箔や砂子の扱いは江戸伝統工芸師のもとに2年通いご指導いただきました。
おかげで多種多様な振り筒も自分で作れるようになりました。
顔料など色出しの為の画材は勿論ですが、特に重要なのは紙です。
紙は基本、和紙。(時には洋紙も使います)
和紙は繊維が絡まっている為、デザインナイフでのcuttingには適していないのですが、コツを掴めばなんのその、です。
水切りすることも勿論あります。
和紙はdirector時代に取材先で出会った愛媛の製紙会社・「和紙のイシカワ」の奉紙や檀紙を使用。
丈夫なので揉むことにも適しています。顔料など色の乗り具合もいい。
ロールで買っているのでサイズを自由に切れるのもありがたいです。
因みに、「和紙のイシカワ」のある川之江(現四国中央市)は紙の町として有名なんですよ。
色や和紙が導いてくれる作品造りは発見の連続。
細かい作業の積み重ねから生まれる作品には長い時間が詰まっています。
その時間が届けてくれる確かな手ごたえと、オルタナティブな道に出会えたこと自体、有難いこと。
やっと自分らしさを見つけられたと実感できるのも、時間がくれた贈り物だと日々感謝して製作しています。
Cuttingした和紙の重なりと時の重なり。
その重なりが生む世界をご覧になられ方々と共有できたらこんな嬉しいことはありません。