【制作活動への姿勢について(2021年1月 記)】
活動名の『シアン』には、青色としてのシアンだけでなく、『思案がちである』という意味も含まれています。
その思案(思考)の仕方が、言葉によるところよりも、五感と連動して捗ることが多いため、多くの作品は非言語的な思考と並行して制作し、その経過の記録として残しています。
各作品の題名やキャプションについても、制作過程を振り返ることでやっと言語化に漕ぎ付いた結果です。
つまり、活動テーマを『Undefined Multiple Art:定義されない複数のげいじゅつ』とし、芸術的表現にかかる技法や流派を固定化しないことによって、思案の自由を確保しながら制作を行っています。
2020年末頃まで、私は『現代芸術家』という肩書きで活動をしてきました。
しかし、これは現代美術における『コンテクスト(文脈)を前提として制作を行う』という定義には逆行することになります。
また、クラシカルな流派のいずれかにあたるかと言えば、多少の影響はあれど異なると感じています。
よって、暫定的な姿勢ではありますが、自身の肩書きを『芸術家』というシンプルなものに回帰させ、無派閥の存在として活動を継続することを決めました。
これは、あくまでも自分と異なる存在や概念に対抗するという形ではなく、元来流動的で茫洋とした自己の性質を保存するための判断です。
ダイバーシティが叫ばれる昨今の恩恵を、能動的に享受し活用していく姿勢とも言えるかもしれません。
何にせよ、必ずしも既存の囲いのいずれかの中に身を置く必要はないと感じますし、
同時に、どこかに坐りのよい居場所を見つけ、その発展および保存に努める他者の存在やあり方についても、対比的に非難することがないよう、努めていきたいと考えています。
拠る母体を持たない活動というのは、自由であるとともに心細いものでもありますが、私自身と似たように感じ行動される方々においては、それぞれの行先に素晴らしい未来が待っているよう、祈願し応援しております。
また、本活動を見守り応援してくださる皆様においても、自己の感性や観点を重視した、自由で発展的な姿勢での観賞を引き続き応援しております。