ネパールが好きで今も往き来している。最初に行ったのは1986年。はるか遠い昔の話だ。この時日本からカトマンズの直行便はなく、バンコク経由が多かった。だから日本からカトマンズまで最短2日かかった。この頃のカトマンズは経済発展とは無縁で、中世の世界そのものだつた。空港はとてもではないが「国際空港」とは名ばかりでボロ屋そのもの。路は舗装されず雨が降ると濡れてドロドロだ。家屋もほとんどが崩れそうなバラック状態が多い。その空気感と風景に衝撃を受けたことは今でも忘れない。日本の常識が通じない。生まれて初めて見る世界。これがなぜかたまらく面白くて。それからネパール・インド・タイに頻繁に行くようになった。
この時期からカメラを使ってアジアの混沌をコラージュして記録に残すようになつた。アジアに行くと私もあなたと同じ仏教徒です。なんて恥ずかしくて言えない。東南アジアの人達がいかに宗教と密接に日常生活の中で生きているか、強烈に伝わってくる。結果わたしも寺院に行くことが多くそこに被写体が集まった。